なぜそうなるか

NISAで売ったら枠は戻る?金融庁が「翌年以降」「簿価」と書いている場所を確かめました

NISAを使っていて、「一度売ったら、その枠はもう使えないのかな」と気になったことはありませんか。

総枠は1,800万円と決まっています。もし売っても枠が戻らないなら、売り買いするたびに残りが減っていくことになります。これは調べ方によって説明がばらつきやすいところで、「戻る」と書いてあるページと「戻らない」と読めるページの両方に行き当たることがあります。

そこで今回は、金融庁のページに実際に書かれている文だけを並べます♪

この記事でわかること ・売った分の枠は戻る。金融庁のページに「再利用が可能」と書かれている ・ただし戻るのは翌年以降。売ったその年ではない ・戻る金額は売値ではなく簿価(買ったときの金額) ・年間投資枠(120万円・240万円)は別に決まっている ・売っても損益が消えるわけではない、とも書かれている

売った分の枠は、戻るのか

売ったら、その枠は消えてしまうの?

消えません。金融庁のページに「再利用が可能」と書かれています。

金融庁の「NISAを知る」というページには、見出しとして「再利用が可能!」という言葉がそのまま置かれていて、その下に本文が続いています。

2024年からのNISAでは、商品を売却した場合、翌年以降売却した商品の簿価の分だけ非課税投資枠が復活し、再利用が可能になります。

短い一文ですが、この中に「翌年以降」「簿価の分だけ」「復活し、再利用が可能」という3つの要素が詰まっています。戻るか戻らないかだけを見れば答えは「戻る」なのですが、条件が付いているのは戻り方のほうで、ここを読み落とすと売った直後に同じ額を買い直せるつもりで計画を立ててしまうことになります。順番に見ていきます。

条件の1つ目 ——「翌年以降」

戻るのは、売った年ではありません。原文にあるのは「翌年以降」という言葉です。

たとえば2026年のうちに売った場合、その枠が使える状態になるのは2027年からという書き方になっていて、同じ年のうちに売って買い直すという動きは、この文からは読み取れません。

「いつ戻るか」は、売った日ではなく年で区切られています。年末に売っても年始に売っても、書かれているのは「翌年以降」です。

金融庁のページには、この点について補足の箇条書きも置かれていて、そこにも同じ「翌年」という言葉が出てきます。

・上記の例では、売却した場合、翌年復活する金額は簿価の100万円です。

ここでいう「上記の例」はページ上の説明図を指しているので、当方は図の中身までは引いていません。引けるのは、この一文が復活の時期を「翌年」と書いていることと、金額の基準を「簿価」と書いていることの2点だけになります。

条件の2つ目 ——「簿価」とは、買ったときの金額のこと

もう1つの条件が金額です。原文は「売却した商品の簿価の分だけ」となっています。

簿価というのは、買ったときの金額のことです。金融庁のページにも、計算の基準として同じ言葉が出てきます。

・年間投資枠と非課税保有限度額(総枠)は、簿価をもとに計算されます。

つまり、値上がりして売れたとしても、戻ってくるのは値上がりしたあとの金額ではありません。買ったときにいくら枠を使ったか、その分が戻るという形です。

逆に値下がりして売った場合も、基準は同じく買ったときの金額です。枠の側は、売れた値段では動かないという書き方になっています。

ここが、枠の話でいちばん取り違えやすいところだと思います。手元のお金は売れた値段で増えたり減ったりしますが、枠のほうはそれに連動しません。

金融庁のページも、枠の計算について「簿価をもとに計算されます」とだけ書いています。売却額や損益の金額を、計算の基準として挙げてはいません。

ですので、枠がいくら戻るかを知りたいときに見るのは、取引の結果の画面ではなく、買ったときの金額のほうになります。証券会社によっては、この金額を「取得金額」「取得価額」といった言い方で表示していることがあります。

言い換えると、枠の管理と、儲かったか損したかの計算は、別々に動いているということです。金融庁のページは、この2つをそれぞれ別の文で書き分けています。

枠の計算に使う金額
買ったとき買った金額(簿価)の分だけ枠を使う
売ったとき買った金額(簿価)の分だけ翌年以降に戻る

枠の残りを数えるときは、売れた値段ではなく買ったときの金額で数える、という形になります。

条件の3つ目 —— 年間の枠は、別に決まっている

総枠が戻ってきても、1年で入れられる金額の上限は別にあります。枠が復活したからといって、その年にいくらでも入れられるわけではありません。

翌年に大きく戻ってきたら、その年に一気に入れられるの?

年間の枠のほうが別にかかります。戻ってきた総枠とは、上限が2つ並んでいる形です。

つみたて投資枠がつみたてNISAの3倍の年間120万円、成長投資枠が一般NISAの2倍の年間240万円に拡大され、併用により合計で年間360万円まで拡大しました。

総枠と年間投資枠は、別々の上限です。 翌年に大きな金額が戻ってきたとしても、その年に入れられるのは、この年間の枠の範囲までという形になります。

総枠のほうの数字も、同じページに書かれています。年間の枠と並べて読むと、上限が二重にかかっているのが分かります。

2024年からのNISAでは、生涯を通じての非課税保有限度額が新たに設けられ、1,800万円が上限となりました。上限は1,800万円ですが、成長投資枠はそのうち1,200万円が上限となります。

1,800万円という総枠と、年360万円という年間の枠。この2つが同時にかかっているという読み方になります。

売っても、損益は消えない

金融庁のページには、枠の説明のあとにもう1行、注意書きが置かれています。ここは読み飛ばされやすいところだと思います。

・NISA口座で保有している商品を売却した場合に損益がなくなるということではありません。

枠が戻ることと、損益が無かったことになることは別です。 売って値下がりしていれば、その結果はその通りに残ります。枠だけが翌年以降に戻る、という書き方です。

「枠が復活する」は、資産が元に戻るという意味ではありません。戻るのは、非課税で持てる金額の枠のほうです。

2023年までのNISAを持っている場合

2023年までのNISAで買ったものが残っている方には、もう1文が関係します。総枠の数え方に関わる部分です。

また、2023年までのNISAでの保有額は、2024年からのNISAの非課税保有限度額の1,800万円の外枠で管理されます。

「外枠で管理される」と書かれています。 2023年までに買ったものは、1,800万円の中には入らないという読み方になります。

ここから先は、制度からは決まらない

ここまでが、金融庁のページに書いてある内容です。数字も言い回しも、引いたのはあの1頁だけです。

「いつ売って、いつ買い直すのがよいか」は、制度の側には書かれていません。決まっているのは、戻るのが翌年以降であること、金額の基準が簿価であること、年間の枠が別にあることの3つです。

その内側でどう動くかは、それぞれの事情によります。当サイトは、その判断の材料になる制度の数字を置いておく場所です。

まとめ
・売った分の枠は戻る(原文は「再利用が可能」)
・戻るのは翌年以降。売ったその年ではない
・戻る金額は売値ではなく簿価(買ったときの金額)
・年間投資枠は別。翌年に戻っても年120万円/240万円の範囲
・売っても損益が無くなるわけではない
・2023年までのNISAの保有額は1,800万円の外枠

よくある質問

売った翌日に、同じ額を買い直せますか

金融庁のページに書かれているのは「翌年以降」です。同じ年のうちに戻るという記述はありません。なお、年間投資枠がその年にまだ残っていれば、そちらの範囲で買うこと自体は別の話になります。

値上がりして売ったら、値上がりした分だけ枠が戻りますか

原文は「売却した商品の簿価の分だけ」で、簿価は買ったときの金額です。値上がり分が枠として戻るとは書かれていません。

枠が戻れば、損した分も取り戻せますか

ページには「損益がなくなるということではありません」と書かれています。戻るのは枠だけという読み方になります。

出典

この記事の文は、上の頁に書かれている表現をそのまま引いています。制度は変わることがあります。手続きの前に、必ず出典の頁で最新の内容をお確かめください。当サイトは銘柄や商品をすすめる場所ではありません。

次に読む

記事をすべて見る